ホイール メカニック・メンテナンス 雑記・四方山

大切な「ひと手間」のお話。DT-Swiss ホイールシステムの場合。

完成車もホイールも性能を発揮させる為には、納車&納品前の「ひと手間」が大切だという事はお陰様でご理解頂ける方も増え嬉しい限りです。
その「ひと手間」がどんなモノなのか。今回はDT Swissのホイールの例をお見せいたします。
https://www.dtswiss.com/en/

リアのフリーハブの心臓部と言えるフリーボディとラチェットです。

このギザギザがかみ合う事で駆動を伝えます。右はノーマルの36Tラチェットで左はオプションの54Tラチェット

DTは1990年代に登場した「DT Hugi」というネーミングでリリースされていた時から「スターラチェットという構造を採用し、今の今までその基本構造は変更されていません。

ハブベアリングは工業用のシールドベアリングを採用しているため、ベアリングユニット交換によって回転性能を新品同様のレベルまで戻すことができます。

ハブ内部のボールレースでベアリング球を受けるタイプは、ボールレースが一定以上の摩耗やダメージを受けた場合は新品時の回転性能に戻すことはできません(まぁお金をかけてレースを磨くことができれば話は別ですが、、、)

このスターラチェットを受けているのがハブ本体に組み込まれている「ラチェットリング」と呼ばれる部品です。

このリングからペダリングパワーは、ハブ本体→Spoke→Rim→Tire→路面へとパワーを伝えてゆきます。

このラチェットリングは画像でも判るとおり、ペダリングにより「締めこまれる」方向に作用します。即ち強大なペダリングパワーの持ち主であればあるほど、ラチェットリングは強く締まる、という事になります。La.sistaではベアリング交換の際に必ず取り外す事になる「ラチェットリング」をいちど分解して組みなおす事にしています。
そうする事でラチェットリングの「噛みこみ」を最小限に抑え、ベアリング交換などのオーバーホールをスムースに行えるようにしています。少ないチカラで外すことができれば、当然の事ながらハブボディやスポーク、リムを不要に撓ませることなく外すことができます。(ハブのメインベアリングを外す為には、このラチェットリングを外す必要があります)

このリング、使い込まれたホイールやハブで噛みこんだモノは本当に硬く、300mmのバイスが破損したことがある程です。特に29erのMTBで42T以上のメガレンジのBikeに乗る「脚に自信のあるライダー」のホイールは要注意です。

そうして組みなおしたリングにスターラチェットシステム、フリーボディと組み込んでゆきます。
この時にグリスを塗布しますが、各社専用のグリスが用意されており、La.sistaも各社指定の専用グリスを使用します。

分解、組立には専用の工具が必要となります。ラチェットリングは勿論ですが、フリーボディのシールリングを戻す際にも専用の工具が必要で、これが無いとリングが真っすぐ入らないばかりか、金属の枠が歪んでしまい、回転精度だけではなく防水性にも大きな影響を与えてしまいます。
 

次にフロント、リアともにハブキャップで抑えているだけのシンプルなハブベアリングですが、防水性を高めるために防水性の高いグリスを塗り込みます。これだけでベアリングの寿命を伸ばす事ができます。

この他にもフレやセンターの確認を行います。そんな作業を経て、ようやくホイールを装着することができます。しかし作業はそれだけでは終わりません。

スプロケットが取り付けられている「フリーボディ」の位置はハブメーカーによって多少の差があります。
例えば、元のホイールよりも新しく装着したホイールのフリーが外側に位置していた場合、ロー側にシフトした時に変速機がホイールに接触し、変速機はもちろん新しいホイール、最悪はフレームも破損させてしまう事があります。実際にそういうBikeはたくさん見かけます。
 

「ポン付けで行けたよ。だからホイール交換なんて簡単だから」

という声も聞かれますが、それは上記の関係性を理解していないで行ったのであれば、「たまたま運が良かった、そういう組み合わせだった」という事でしょう。

もちろん、ブレーキシューの位置やレバーの引き代も再調整します。RIMの外幅や形状が変われば、当然、セッティングも変わります。

そんなこんなで皆さまのBikeにして、安全に走って頂くためには、そんな作業をコツコツと行っています。

なので販売価格は通販専門店や一括仕入れの大型店のような割引率でのご提供はできませんが、末永く安心してお使い頂ける性能と、確実なメンテナンス、安心の点検・調整サービスはご提供させて頂きます。

La.sistaはDT-Swissの他にMAVIC、Campagnolo、Flucrum、ZIPPなど様々なホイールシステムとハブを扱っています。

それぞれの特性とライダーの使用環境に合わせて最適なチューニングを心がけています。

また他店ご購入のホイールでLa.sistaで行っているホイールチューニング、メンテナンスをご希望の方はお気軽にお問合せください。どんなホイールも「ちゃんと」性能を発揮させるお手伝いをさせて頂きます。

—- La.sistaご購入のホイールサービス —–
お買い上げ頂くホイールはベアリング、フリーボディ、フレ、センターの点検、調整、最適化した後に納品いたします。それらのホイールは以下のサービス、保証が付帯します。
・定期点検 生涯無料
・ベアリング調整 生涯無料(※1)
・フレ取り調整 生涯無料(※)

・各種メンテナンス工賃 20~50%割引
(※1. 10分以内で行える作業)

(※2. 15分以内でタイヤを装着したまま行える作業)
 詳しくは店頭にてお問合せ下さい


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