ここ最近、ペダル関連の話題で持ち切りですが、La.sista店主が永年、信頼しているペダルシステムのお話です。
膝に優しい。
ペダル軸とシューズが近く、ペダリングがしやすい。
そんな話を耳にした方も多いかと思います。
今回は、La.sista店主が長年使い続けてきたTIMEペダルの優位性についてのお話です。
■ダイレクトなペダリングの秘密
TIMEペダルを真横から観察すると、ペダルとクリートを保持する主要部分が、ペダル軸を挟むように前後へ配置されていることが分かります。

この基本的な考え方は、1987年に登場した初代TIMEロードペダル、EQUIPE/RACING系の時代から、現在のXPRESSO系まで受け継がれてきました。
TIMEペダルの優位性として古くから語られてきたのが、
「ペダル軸とシューズの近さ=低いスタックハイト」
です。
TIMEではかつて、これを「BIOPOSITION(バイオポジション)」と呼んでいました。
足裏をペダル軸へ近づけることで、ペダルを踏んだ時の力がダイレクトに伝わる。
これがTIME独特の「ダイレクトなペダリングフィール」に繋がる、と長年説明されてきました。
ただし、TIME特有の踏み味は、単純にスタックハイトが低いことだけで生まれている訳ではありません。
低いスタックハイトに加え、
・ペダル軸を挟むような前後に別れたクリート
・足を安定して支える広い踏面
・前後左右方向に動く独自のフロート機構 (遊びとは、やや概念が異なる)
これこそが、TIMEのペダリングフィールを生み出している秘密の一つです。

ここで「ペダルの円運動」や「足首の動き」まで説明すると少し複雑になりますので割愛しますが、店主自身が長年TIMEを使ってきて感じている特徴がもう一つあります。
「上死点からペダルを踏み込む時、なるべく早い段階からペダルを前へ送りたい」
これは、多くのライダーが無意識に行っている動作だと思います。
特にClimbなどでケイデンスが低下し、より大きなトルクを必要とする場面では、少しでも早くクランクを進めたくなります。その時のことを思い出してみてください。
無意識のうちに、踵をやや落としてペダルを前へ送り込むような動きをしていることがあるかもしれません。
もちろん、これはサドル高、コックピット、クリート位置、ライダー個人のペダリングフォームによっても大きく変わりますので、全てのライダーには当てはまる、とは言えませんが。。
TIMEペダルは低いスタックハイトとペダル軸の後方にメインクリートがある、という独特なクリート配置によって、ペダル軸と足との距離が非常に近くなっています。
この構造が特に低ケイデンス時に、過度に踵を落とさなくても上死点付近からクランクを前へ送り込みやすいフィーリングに繋がっていると感じます。
但し、「この構造だからWattが上がる」などという話ではなく、ペダリングフィールと「脚全体の疲労感や感触」という事です、
■「TIMEのクリートは減るのが早い!」は本当?
TIMEペダルの弱点として、「クリートの摩耗が早い!」と言われることがあります。
確かに、歩行によってクリート先端部が摩耗しやすいのは事実です。
ただしTIMEのクリートは、ペダル前方のフックでペダル本体を拾い、後部のクリート本体によってペダルへ固定される構造になっています。
昔の言葉でいえば「先端クリート=ストップエッジ / 後部クリート=カムブロック」ですね。クリート先端はペダルとシューズを固定する中心的な役割を受け持っている訳ではありません。

重要なのは、後部のブロックであり、ココが最も重要な役割を担います。
そのため、歩行でクリート先端が多少摩耗したからといって、直ちにペダル保持性能が失われる訳ではありません。
もちろん、極端に摩耗したクリートを使い続けることはおすすめしません。
摩耗が進めばクリップインのしやすさや安定感にも影響しますので、定期的な確認は必要です。
■膝に優しい。BIOPOSITIONとフロート
TIMEの大きな特徴が、「角度方向だけでなく、足全体が横方向にも動くフロート機構」です。
一般的なロード用ビンディングペダルのフロートは、「ある支点を中心として、つま先と踵が回転する」あるいは、「つま先側を基準として、主に踵側が左右に動く」という構造が一般的です。
それに対してTIMEでは、縦方向のフロートに加えて、足全体がペダル軸方向へわずかに左右移動できます。
これは主要なロード用ビンディングペダルの中でも非常に珍しい特徴です。TIMEでは昔から、この自由度を膝への負担を減らすための重要な機能として採用してきました。
人間の脚は、常にまったく同じ軌道を描いて上下している訳ではありません。
高ケイデンスで回している時と、大きなトルクを掛けている時とでは、膝、踵、足裏の軌道も微妙に変化します。
また、ライダーによっては高回転時には比較的狭いスタンスを好み、強く踏み込む時には少し外側へ足を逃がした方が自然に感じる場合もあります。
TIMEの横方向フロートは、こうしたライダー自身の微妙な動きを完全に固定せず、ある程度自由に許容してくれます。
■ただ自由に動くだけではない
TIMEは「ペダルの遊び」を「遊び」と言わず「フロート」と呼んでいます。
TIMEには、フロート範囲内で足が動いた際に、設定したニュートラル位置へ戻ろうとする穏やかな復元感があります。
昔のTIMEでは、この考え方をS.E.T.
「Sensor Elasticity Tuner」と呼んでいました。

リリーステンションの調整は、単純に「ペダルから外れにくくする」だけではなく、フロートさせた時の反力や、ニュートラル位置へ戻る感覚にも影響していました。
店主の印象ではRXS/iCLIC頃と比較すると、現在のXPRESSO系では少し穏やかになったように感じます。
現在のXPRESSO/XPRO系では、S.E.T.という名称は使われなくなりましたが、今でもその特徴は残っています。
例えば一般的なペダル/クリートでは、3°より6°のクリートの方が一見すると膝に優しそうに感じます。
しかし、ダンシングやフルもがきのように大きな力が掛かった際には、つま先側の位置があまり動かず、踵だけが外側へ大きく回ることがあります。
人によっては、これが脹脛や膝周辺に違和感を生む場合があります。
TIMEは角度方向だけではなく、足全体が横方向にも移動できます。
そして、その動きを完全に放置するのではなく、設定したニュートラル位置へ穏やかに戻そうとする力があります。
これが、TIME独特の「膝に優しい」と言われるフィーリングを生み出している理由の一つだと考えています。
■30年以上変わらないTIMEの思想
TIMEのペダルというと、
「価格が高いのでは?」
「メンテナンスは大丈夫?」
「クリートがすぐ減るのでは?」
といった不安の声も耳にします。
しかし現在のTIMEのペダル部門はSRAM傘下となり、上位モデルと基本機能を共有しながら、素材を変更して価格を抑えたモデルもラインナップされています。
La.sista店主は学生の頃から、
TIME EQUIPE
IMPACT
RXS
iCLIC
そしてMTBでは、
ATAC
ATAC XS
と、長年TIMEペダルを使い続けてきました。ここ数年は諸般の事情でTIME Pedalではありませんが、次回はTIME Pedalに戻す予定です。
もちろん、時代によって構造や素材、細かなフィーリングは変化しています。
しかし、TIME独自の設計思想は、既に1987年頃には完成され、そのコンセプトは今も不変だという事に改めて驚かされます。
ロードでもMTBでも、そのコンセプト、優位性について店主自身、今も疑うことはありません。
TIMEペダルに興味のある方。
現在のペダルに膝や脚の違和感を感じている方。
「TIMEって実際どうなの?」
京都府木津川市山城町上狛四丁町(しちょうまち)5-2
TEL:0774-86-6300
FAX:0774-86-6301
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